JABEEへの取り組み
群馬大学理工学部機械知能システム理工学科では,旧工学部機械システム工学科昼間コースの学生向けに日本技術者認定機構(JABEE)の認定を受けたコース(機械システム工学修習技術者コース)を設立し,平成15年度卒業生より適用しております.
昼間コースの学生の全員が認定コースに在籍していることと夜間主コースの廃止を受け,平成20年度にコース名の変更を申請し,平成19年度入学生よりコース名が「機械システム工学科日本技術者教育認定機構認定プログラム」に変更されました.
さらに、理工学部への改組と機械知能システム理工学科への移行に伴い、平成25年度入学生よりコース名が「機械知能システム理工学科 日本技術者教育認定機構認定プログラム」となりました。
JABEE履修条件(平成26年3月現在)
- 入学者は全員認定コースのプログラムの教育を受けているので,当初のように登録を行う必要はない.
- 教養教育の総合科目「技術者原論」と桐生で開講される「学びのリテラシー(3)」を取得すること.
- 次の学習時間(授業などで教員と接して実際に学習した時間)を満たすこと.
人文科学・社会科学(語学教育を含む) | 250時間 |
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数学・自然科学・情報技術 | 250時間 |
専門技術教育 | 900時間 |
その他(上記3分類どれでもよい) | 400時間 |
合計 | 1800時間 |
- 平成21年度入学生から教養教育の必要科目が変更され,機械システム工学科の卒業要件でJABEEが求める時間数や学習内容を満たすことになった.平成20年度までの入学生は,教養教育科目に対する要件を満たしても,自然科学系の科目を偏って履修すると人文・社会・語学の時間数を満たさない場合があるので注意が必要である.
- 機械システム工学科は平成15年度にこの日本技術者認定機構の審査に合格した.さらに,平成20年度に継続審査を受けた.
- 平成18年度までの入学生は,卒業要件を満たす(卒業要件を満たす単位を取る)だけでは卒業できず,上記JABEE 履修条件も満たさないと卒業が認められないことになるので十分に注意すること.
- 編入学生は,教養教育科目を含めた各科目の個別認定により卒業要件を満たせばJABEE履修条件を満たす.(そのため出身校での教育内容が判るシラバス等の提出が義務づけられている.)
履修に関する注意事項
- 語学・人文社会系に分類される科目の取得について
前述のようにJABEE認定を希望する場合には人文科学・社会科学(語学教育を含む)に関連する科目を250時間以上取得することが必要である.この250時間は実質的な学習時間で,通常の科目の場合には1科目15回で22.5時間となる.従って,JABEE認定に必要な250時間を満たすためには,1年次荒牧キャンパスで開講されていた学習原論,総合科目,各外国語および分野別科目で語学・人文社会系に分類される科目と,2年,3年次に桐生キャンパスで開講されている,語学・人文社会系に分類される科目の合計が250時間(12科目以上)になるようにしなければならない.(平成21年度以降の入学生は,卒業要件を満たすことで自動的にこの要件は満たす) - 技術者原論の履修
2年次前期に開講されている技術者原論を必ず取得すること. - 学びのリテラシー(3)の履修
3年後期に開講される学びのリテラシー(3)を取得すること. - 確率統計の履修
JABEEでは確率統計に関する理解が必要になる.機械基礎数理演習(必修:確率統計に関する内容を含む)の履修でこの項目は満足される.2、3年生後期に開講されている確率統計を履修することが望ましい.
継続認定
JABEEの継続審査により継続認定されました。
現在工学部ではすでに生物化学工学科生産プロセス工学講座の化学工学コースと建設工工学科がJABEEの認定を受けている.機械システム工学科も平成15年度にJABEE審査を受け,このたび認定を得ることが出来た.
前回受審から5年が経過し平成20年度に継続審査を受けることになった.その結果は一部指摘された個所があるものの,概ね問題がないということで,6年間の認定を受けた.
JABEEとは日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education)のことで,大学などの高等教育機関の教育プログラムが社会の要求水準を満たし,国際的にも通用する技術者の養成が可能であるかを審査する機関である.JABEEの認定を受けると,その教育コースを修了したものには修習技術者という資格が与えられ,国家資格である技術士の一次試験が免除される.機械及び機械関連分野では,平成20度までに57大学(高専)の67コースが認定されている.
機械システム工学科では,継続審査を受けるために,委員会を構成して準備期間を持ち,平成20年7月に自己点検書を提出し,平成20年11月16日から18日の三日間にわたって実地審査を受けた.審査員は委員長,委員2名およびオブザーバー2名の計5名であった.実地審査では教育目標とカリキュラム設計の妥当性,シラバスの内容と登録状況,すべての授業科目の答案や成績の確認,研究教育施設の充実度,教員への面談,在校学生(学部・大学院生各学年)への面談,卒業生への面談などきめ細かい審査が行われた.審査では前回指摘された問題点が解決されていることの確認などが行われた.そのなかで,カリキュラムや授業内容を改善するための教員間ネットワークが十分に機能していないとの指摘を受けた.この教員間ネットワークについては,前回受審時に行っていた学科独自の取り組みをやめて大学全体の取り組みに基づくものに移行したが,意思の疎通が不十分とされた.また,予算獲得のための活動の変動の大きさについても指摘を受けた.さらに,実験スペースの狭隘さが指摘された.今後,これらの指摘事項を改善する必要があると考えている.
平成21年度入学生より教養教育のカリキュラムの変更により卒業要件とJABEE認定要件が一致したため,これまでのような受講科目の偏りに対する注意をする必要が無くなった.また,4年目より昼間コース全員が技術者修習コースに自動登録されている状態と夜間主コース廃止にともない,認定コース名の変更を申請し,あらたに平成19年度入学生より「機械システム工学科 日本技術者教育認定機構認定プログラム」となった.
もともとJABEEの発足は産業界の強い要請から始まったものである.今後工学部を卒業する学生にとってJABEE認定を受けたコースを卒業したかどうかが重要になってくる.また,本年度機械システム工学科に入学した1年生にアンケートを取ったところ,JABEEのことが本学受験の動機の一つになったと答えている.本学科では,今後もJABEEに対する取り組みを継続的に行い,卒業生の最低水準を保証し,その上に特色のある質の高い教育システムを構築して社会の要請を満たし,工学部の発展に寄与していきたい.
前回審査に続き,今回の審査でも多くの教職員の方々にご協力をいただいた.特に,工学部内に組織されたJABEE委員会を通して環境プロセス工学,社会環境デザイン工学科での取り組みを大いに参考にさせていただいた.さらに,教員間連絡ネットワーク作りでは,工学基礎講座の先生方にも多大なるご協力をいただいた.この場をかりて心より感謝申し上げたい.今後とも学内の皆様のご理解とご協力をあらためてお願い申し上げます.
(機械システム工学科,プログラム責任者・松原雅昭)