群馬大学
理工学府 知能機械創成部門
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●モータ応用システムのロバスト制御

モータ応用システムの現状と問題点
モータには,モータ内部の抵抗や,インダクタンスなどが存在し,モータの定常特性や動特性は,これらの値によって変わってきます. この内部抵抗やインダクタンスは個々のモータによってばらつきが存在するため,同じ入力を加えた場合でも,それぞれのモータは異なった応答を示してしまいます. さらに,モータの一般的な用途として,一定速度での回転や,停止状態(サーボロック),正転,負転を頻繁に行う位置決めなどが存在しますが, このとき,モータの出力軸には,何らかの負荷(イナーシャ)が取り付けられるのが普通であり,出力軸に負荷が取り付けられれば,当然,回転に要するトルクが変化し,応答も変化してしまいます. したがって,全てのモータに対して望ましい応答を出させるためには,その状況に応じて,コントローラのゲイン調整を行うことが必要になってきます.
しかし,現在,コントローラのゲイン調整は多くの場合,製品出荷前に手動で行われており,望ましい応答を得るまでには,時間とかなりの熟練を要します.
上記の問題に対する本研究の意義
そこで,抵抗や負荷などのパラメータが異なるそれぞれのモータに対して, 短時間で希望の応答を得られるように制御を行うような(=ロバスト制御)アルゴリズムを開発することが,本研究のテーマとなります. このアルゴリズムを開発することによって,モータ製品の出荷までにかかる時間を短縮するだけでなく,モータとこのアルゴリズムを組み込んだ制御ソフトを一体として製品化すれば, 製品の購入者自身が,用途に応じてモータのコントローラゲインを最適な状態に設定できるようになります.
これまでの研究内容
実際にDCサーボモータを使って,限界感度法を用いた速度ゲイン調整実験を行いました. これは,調整実験を通して得られた知見をアルゴリズム化して,自動調整則の開発へつなげるためです. 実験は,まず手動でゲイン調整を行い,負荷イナーシャと入力条件を変化させて, それぞれの場合に対して,どういった手順で,コントローラの設定を行っていけば,望ましい応答が得られるかを確認しました.
そして,次に,これまでの研究で得られたコントローラゲインの設定手順をアルゴリズム化し, C言語によるプログラミングを行うことによって自動化することを目指します. また,今回の限界感度法を用いたゲイン調整法とは別に,モータ内部の抵抗やインダクタンスなどのパラメータを推定し, それに応じてコントローラゲインを設定する適応制御アルゴリズムの開発も検討しています.

●協働ロボットの開発

従来,産業用ロボットは安全性の観点から多くは柵の中で使用されてきた.近年,安全に対する技術の向上により作業者とロボットの協働作業が認められるようになってきている.そのようなロボットの一つに,ハンドガイドによりロボットの先端を作業者が持ち動作範囲内で動かすことにより,作業者の動きに追従してロボットが動作するものがある.ハンドガイドを用いたロボットは人とロボットが同じ空間に存在するため,高度な安全対策が求められる.現在,安全技術を搭載した産業用ロボットは盛んに研究が行われている.その中で,本研究では制御により関節に柔軟性を持たせることに着目した. 本研究では,制御により関節部に柔軟性を持たせる前段階として,制御を組み込むベースとなる関節ロボットを製作する(以後,関節ロボットをマニピュレータと呼称する).また,ハンドガイド作業時に作業者の操作に追従して動作することが可能である制御構造を新たに設計する.その制御構造を持つ制御器をマニピュレータに実装し,実機実験でマニピュレータの応答を検証することで目的とするハンドガイド作業が実現可能か検証し制御構造の有用性を確認する.